佐渡島は赤玉石のほかにも色彩石の宝庫です。色々な美しい石をご紹介します。 |
さどきんこうせき |
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佐渡北東の岩谷口(いわやぐち)から産出されたので、別名「岩谷口五色」とか「五色メノウ」とも言われます。江戸時代の文献 にも「錦紅石」の名は載っています。昭和39年に日本橋三越で行われた、「第一回日本水石名品展に出品され、全国に 爆発的な人気を得た石です。残念ながら、昭和40年代初頭には産出は終了しました。 昭和39年頃より佐渡1周線の道路整備により、産出場所は一切、手が出せないようになりました。 もともと産出量は少ないことから、大変貴重な石です。現在では色の入りの良い、最高といわれる石はほとんど市場に出て来ません。 最近では、佐渡の業者でも、良い錦紅石や多くの原石をご存知の方がいなくなりました。 ネット上に説明で、赤がジャスパーで白がメノウでないとランクが落ちると言ってみたり、 赤のジャスパー部分の多いほうが良いとかいう方もいますが、それは間違いです。 参考にご覧ください *過去の専門誌に掲載の錦紅石への評価 観賞石という場合には鉱物としての価値(翡翠・水晶・メノウ等)成分を見ることだけではありません。 一般的には「ジャスパー」というと赤を連想される方が多いですが、それは「レッドジャスパー」が多く出回っているからです。 鉱物としては、ジャスパーは日本では「碧玉」と同義語です、石英質に多くの不純物が混じることにより、 様々な色(黒・赤・白・茶・緑等)を発色します。このことから、錦紅石も羽茂五色も「碧玉」の一種と考えられます。 錦紅石の錦は色彩が豊という意味です。そしてほとんどの色がメノウ質(ジャスパー質)なので五色メノウといわれた石です。 如何に多くの色、赤だけではなく黒・白・ピンク・紫・緑・黄土色・茶などが面白く入っているかが、錦紅石としての魅力です。 最盛期の頃には「ネバリの有る石だ」とか「色の入りが良い」とかいいました。 黒のきれいなメノウ質の錦紅石も珍重されました。 赤のきれいな錦紅石に比べ、黒のきれいなメノウ質の錦紅石を持っている人は少ない。 黒や白の中に赤が爆発するように入った石には「宇宙を感じる」という方もいらっしゃいます。 そういう見方が錦紅石を見る一つの醍醐味です。小さなものでも数多くの色が混じりこんだ錦紅石は、 帯留めなどのアクセサリーにも珍重されました。 錦紅石は岩盤の中から採掘されました。黒や茶色の部分を母岩という方もいますが、それも間違いです。 黒や茶色がメノウ質とわかる錦紅石 多くの原石や採掘された場所を御覧になっていないからだと思います。 錦紅石も赤玉石と同じで、採掘場所がほんの少し違っても、赤・白・黒等の石質が違いました。 岩石に近い石質の物とメノウ質の石とは違います。 多くの原石や磨き上げられた石を見ないと分かりません。 佐渡の錦紅石は黒や茶・白色等も赤と同質のメノウ質(ジャスパー)が多い石です。 多くの錦紅石の原石には石灰質(黄色ぽい)の泥や、一部石化したものが付いています。 それは金属ブラシやホビールーター程度のもので落ちます。丸磨きなどグラインダーや砥石をあてるとわかります。 硬くジャスパー化した部分に比べると取れやすくなっています。 もちろん、磨くのですからグラインダーを強くかければ、メノー部分も当然削れます。 錦紅石原石 (クリックしていただくと錦紅石の原石をご覧いただけます)を御覧頂ければればわかります。 石を観賞する際には糸魚川の翡翠のように鉱物の成分(ジャスパー・メノウ・水晶)としての価値を観るのか、 また美石(色・色彩・文様)として愛でるのか、水石(初心石)など自然の造形美として観るのかにより、 価値観が全く違ってきます。その価値をどこに求めるかは、その方々の「求める物」により違います。 茶室には、磨いてあっても一部分赤が入っているような石や菊花石・梅花石などです。 全体的に明るい赤が多くピカピカに磨いた石は飾りません。秀吉の金の茶室のようなセンスでは別ですが、 ほとんどの場合、自然の石の「わび・さび」を求めます。 盆栽と対で飾る場合も自然石に近いものを求めます。盆栽と石、両方を活かします。 初心石を求める方は、磨いたり削った美石を嫌い、美石を求める方は黒い初心石を嫌います。 人も完全と云われる美人が好きな人、個性的な美人が好きな人、愛嬌のある人が好きな人、 千差万別です。 石に興味の無い方は、どんな良い石を頂いたとしても、漬物石にしかなりません。 石を観る方がその石に何を感じ、何を見出すかということです。 楽しみ方は無数にあります。一方向だけですと、面白い物も見落とします。 美石として観た場合でも、赤と白が硬いメノウ質だけでは、メノウとしての価値はありますが、どうしても色に面白さがでません。 多くの色が入るということは、当然不純物(鉄分や銅分等)の含有量が違うということです (僅かな不純物や質の違いを嫌うダイヤやルビーとは違います)。 その不純物や石質の違いのおかげで、色の美しさや面白さを楽しむことが出来るのです。 絵の具が溶け合うような面白さがあるのです。 但し、俗に「ノロ」「ガス」等といわれるような柔らかなものではなく、 当然磨いた時には、それなりの艶の出るほどの硬さでなくてはなりませんが、 あえて質の違いを活かしての見方もあります。 佐渡では赤玉石も含め柔らかな部分や、岩石部分は「ガス」という言い方をしました。 特にこのような部分は、石の産地により違ってきます。 同じ佐渡の赤玉石と小倉石は似ていますが、採掘の仕方や場所(ネンド層と岩盤)も違い、色の細かな入り方や、 「ガス」の部分に違いがあります。 海外のレッドジャスパーでも佐渡赤玉石に似た石がありますが、山梨等の加工業者さんは 切断する時にかなりの違いがわかるといいます。 海外の石も含め多くの石を扱っているようで、わずかに手ごたえ等が違うのでしょう。 各産地の石も科学的には、同じ種類に分類される石は多数ありますが、その産地・場所独特の特徴があります。 ご覧になれる機会は少ないでしょうが、その産地の原石を、数百数千と見ないと良さも分からないと思います。 他県の石や海外の石を引き合いに出して、説明しようとするのも見受けますが、意味がありません。 ビルマの翡翠で糸魚川の翡翠を語るようなものです。 次に水石としての見立ての場合にも別の難しさがあります。 先に書きましたが、佐渡錦紅石も羽茂五色も産出量が少なく、 昭和40年代には全国的に石ブームがあり、多少でも色の良い石は、磨き上げられて販売されました。 その為、初心石で形の有る錦紅石は、ほとんど残っていません。 錦紅石の磨かれたまともな石は、骨董品店やオークションで数年に一度くらい出てきますが、 ちゃんとした初心石で、形のある錦紅石は出てきません。それほど貴重です。 どこの産地の水石でも、初心石で形や質が良いものを探すのは、大変なことです。 水石が「一生一石」といわれる所以です。 ましてや、色石ですから色の入り方等で全く印象が違います。 「ノロ」「ガス」等という部分と黒のメノウ質のハッキリわかる錦紅石 水石としての錦紅石(近代盆栽2005年6月号に名石として紹介) 水石として錦紅石(初心石)2 赤のジャスパーとメノウの白だけでしたら、きれいですが、海外にも沢山あります。 しかし、絵の具を溶かしたように数多くの色が混じりこんだ錦紅石は 日本全国や海外にもほとんどなく魅力的な石です。 このように錦紅石一つとっても、色々な楽しみ方がございます。 ご存知ない方が多いので、下記に「錦紅石」独特の美しさを持つ石を掲載しました *写真や文章の無断転載はお断りします* 下記の錦紅石は全て弊店所蔵です |
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さどはもちごしき |
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旧佐渡郡羽茂町から産出された石です。昭和39年に国が他の県に先駆けて行った農地計画の時に出土しました。 その計画がパイロット計画と言われたことから、昭和の石ブームの際にはマニアには計画の名からパイロットとも呼ばれました。 昭和30年代や40年半ばの本には、佐渡五色として紹介されています。 産出量は極めて少なく、弊店も数年ほど採掘しましたが、鉱脈が狭くて深くすぐに枯渇しました。 石ブームの際、東京などの展示会に持ち出された石は、佐渡に戻ることほとんど有りませんでした。 錦紅石よりも、水晶が多く含まれます原石には錦紅石に比べ白い石灰質が表面に付着しています。 赤玉石も質の良いものは、碧玉の一種といわれますが、羽茂五色は碧玉です。 原石を参考にご覧ください。(下記の羽茂五色原石をクリックして下さい) 最近では佐渡でも色のきれいな物や採掘されたままの原石はほとんど見ることは出来ません。 佐渡羽茂五色原石 *写真や文章の無断転載はお断りします* |
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さどおぐらいし |
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旧佐渡郡畑野町小倉の通称油腐(ゆぶ)山の砂利の採石場から昭和の後半に産出された石です。赤玉に比べ、黄色の入り方に特徴があり、 赤に融け込むように入り込んでいきます。産出の際、町がもめごとをきらい持ち出し禁止をしましたが、多くは業者により、 赤玉石として売られました。別名「ゆぶ石」ともいいます。 |
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